2011-08-05

RAW画像の現像ソフトウェア(続き)

さて,今回は有償のソフトウェアについて,まとめてみました.無料のソフトウェアは,Web等で公開するレベルなら問題ないと思いますが,フォトコンテスト等に応募するならば,しっかりしたソフトウェアを使った方が良いと思います.もちろん,何もしないでプリントするだけが,もっとも良いのですが...

ディジタルの場合は,ポジとは異なり,撮影してからプリントするまでの作業を行う力が必要で,そのために必要なパソコンやプリンタ等の機材も用意しないといけません.また,データのバックアップに必要なHDD (Hard Disc Drive : ハードディスクドライブ) も用意しないといけません.
よくキャリブレーションをして色調整をして,ということが言われますが,そのために必要なディスプレイはパソコン本体よりも高い上位機種(20万程度?)でないといけません.プリンタも10万円以上のもの,パソコンもそこそこの処理能力が必要です.
となると,それだけで軽く50万円はかかってしまいそうです.
カメラとレンズ,メモリカードだけでなく,それだけの機材を揃えるのは,ちょっと厳しいですね(学生でもある身では,とても無理は言えません).

ですが,(あくまで目的によりますが) フリーウェアでの画像の加工は,ちょっと怖いので,ちょっとした編集でも有償のソフトウェアでのレタッチをお勧めします.
以下,私が調べてみたり使ってみたりしたものをまとめてみました.価格は,ダウンロード販売価格を前提に大凡の最安値です.目安程度にお考え下さい.
  • NIKON Capture NX2 (15,800円)
    NIKON RAW画像を編集するためのソフトウェアで,売りはコントロールポイントによる部分的なレタッチができることや,編集履歴が残せるので上書き保存しても元に戻せます.つまり,元データをガンガン編集しても,元に戻せるので安心です.編集後は多少サイズが大きくなりますが,気になるほどでははありません.NIKON SCで無料の講習会も開催しています.なお,試していませんが,Adobe DNG Convertorを使って変換すれば,他社カメラで撮影したRAW画像もCapture NX2で扱えるようになるそうです.
  • NIKON View NX2 ( free )
    主にデータ管理や閲覧するためのソフトウェアで,明るさなどの簡単な調整もできます.
  • Adobe Lighroom 3 (27,500円)
    写真管理を目的としたソフトウェアですが,レタッチ機能は一通り揃えているようです.ただホワイトバランスがおかしい,との報告もありますが,バージョンアップで改善されたかもしれません.Silkypixにするか迷うところです.
  • Adobe Photoshop elements 9 (11,000円)
    画像の調整ができ,確かプラグインを入れればトーンカーブも使えるようになるようです.古いバージョンで使っていました.CS5はちょっと手が出せないけど,画像の編集がしたい人向けです.
  • Adobe Photoshop CS5 (79,000円)
    シリーズ最高の機能を持つレタッチソフトウェアです.デモムービでは,道路を消してしまうなどレタッチも簡単にできるように思えました.が,高いです...
  • 市川ソフトラボラトリー Silkypix Developer Studio Pro (27,000円)
    最も高機能な製品ですが,ちょっとしたレタッチなら4.0でも十分かもしれません.
  • 市川ソフトラボラトリー Silkypix Developer Studio 4.0 (16,000円)
    色々なレタッチが楽しめます.編集すると何やら大きなファイルができるようでした.一時期試用版で試してみましたが,個人的にはここまでの機能は必要がなかったので,結局使わなくなってしまいました.
  • CyberLink PhotoDirector
    2011ヴァージョンが出た時,試用版を使ってレポートすれば,正式版を無料で使えるキャンペーンをしていました.それを利用して入手しました.トーンカーブはありませんが,ヒストグラムを見ながらの調整や部分的なレタッチができます.前述の通り,カタログファイルを作成しなければならず,個人的には少々面倒臭い気がしました.
迷いますね.
色々な方の掲示板への書き込みやBlogなどを参照しましたが,NIKONユーザならばCapture NX2がお勧めです.ただし,メモリは少なくとも2GB以上必要です.近々,NX3へのアップデートがあるとの噂があります.(個人的な希望としては,D4's dayで一緒に発表されると良いのですが) ヨーロッパでは,解説本のISBNが取得済みだとか...

では,NIKON以外のユーザの方は何が良いのでしょうか.
自分は,ちょっとの調整しかしない,というのでしたらPhotoshop elementsが良いと思います.ただし,一歩踏み込んだレタッチは出来ません.
少し踏み込んだレタッチや,今後色々な修正をするかもしれないのでしたら,Silkypix 4.0がよいと思います.新機種への対応が早く,何と言っても国産である強みがあります.ただ,インタフェースが少々使いにくいとの評価もあるようです.

いずれにしろ,試用版をダウンロードして使ってみるのが一番です.取説が無くてよく分からないかもしれませんが,使い方を解説したWebページを見つけて試してみてはいかがでしょうか.ちょっとレタッチするだけで,直ぐに半日くらい経ってしまうのが困りものなんですが.

なお,RAW画像からイメージデータに変換する際に,JPEGにするかTIFFにするか,という選択肢があります.
JPEGは圧縮率が高いのですが,偽色を多く含むため編集を繰り返して保存すると,再圧縮されるため画質はどんどん劣化していきます.ですので,原則JPEGは編集しない方が良く,RAW画像やTIFF画像を編集する方が良いでしょう.一方,変換後も編集する可能性があるならば,TIFFにした方がよいです.

それでは,このシリーズは,これで一旦終わります.その内,フリーウェアについても紹介できればと思います.