私も、決してマナーが良い山ヤ、カメラマンとは言えません。ですが、この私から見て、あまりにもひどいと言わざるをえない事が最近多いのです。トラブルは時折目にしますが、事故が起きないのが不思議です。
幾つか、気になることがありましたので、自省の念もあり、ここでまとめたいと思います。
全て自己中心的な行動に拠るものです。勘違いしている人が多いのですが、心理学の自己中心的行動とは、自分が置かれている立場を第三者的な目で見られない事を指します。よく言う自己チュー (我儘) とは違います。例えば、四つ角で信号待ちしている自転車の人が道を塞いでいることがありますよね。これが自己中心的行動です。
今回は長くなるかも・・・
1. 山は登り優先
山では登る人が優先です。下る人は、登る人がいたら道を譲りましょう。というのが、基本中のキです。ところが、何故登り優先なのか、を説明できる人は少ないようです。このため、杓子定規に登り優先と道を譲る人がいます。
まず、登りの人は足元に目を落としがちで、上に気が付きません。一方、下りは下方を見渡せます。かつ、落石の可能性があるのも下る人です。このため、登る人に早く気付き、落石を防ぐために登る人を優先する (と私は気が付きました) のです。
登り優先を知らない人が北アルプスや富士山に登ってくる事自体、異常です。下っていると、(疲れてもいないのに)道を譲る登りの人が多いんです。山道具のショップは、本当に道具を売るだけになっているんですね。もう、ショップも信頼出来ません。
ましてや、登る人を待っているのに撮影のために足を止めたりするのはもっての外です。その場合は、下る人を通して (先に譲ってから) 撮影等をしましょう。
2.道を譲る時は山側で
何故、道を譲りあうのでしょうか。
登山道は狭かったり、岩場だったり隘路が多くあります。そこでのすれ違い (クロス) する場合、基本的には山側に避け、ザックを通過者に接触しないよう山側に向けるか等します。これは、谷側に避けた時に接触すると滑落する危険があるからと、ザックが接触して滑落する危険があるからです。
ですが、平気ですれ違い様にザック等が接触してもお構いなしの人もいます。大変危険ですから、譲りあう気持ちで行きましょう。接触した際には、誤り確認するぐらいの余裕が欲しいものです。
3.声を掛け合わない
山では挨拶をする、とよく言われます。何故でしょうか?これに、正しく答えられない人が多いです。そういう文化だと思っている登山歴ん十年の人も多いと思います。恥ずかしいですね。
登山で声を掛け合うことで目を向けるため、顔や容姿を確認できます。これで、お互いの体調の具合や、遭難が起きた時に目撃者の証言等が得やすくなるのです。決して、何かあれば仲間だから、という事ではないんです。勘違いしている人が多いのではないかと思います。
また、登り優先は基本中のキですが、岩場等の危険な箇所では下りを優先した方が良い場合があります。ですので、声を掛け合い、登る人に待ってもらう等の声掛けをすればよいのですが、それをしないので危険な箇所でクロスすることになります。
私は、例えば下る時に後ろに人がいて一緒に下る場合は、何名下りるから少し待ってくれ、とか、何名続くからと声をかけるように気をつけています。
あと、譲っても御礼を言わないパーティが目立つようになりました。リーダの人 (大体、パーティの最後尾) は、譲ってもらった場合は御礼を言うようにしましょう。私は、譲っていただいた場合は挨拶代わりにお礼を言うようにしています。
4.道を譲らない / 道を塞ぐ
1と関係するのですが、道を譲らない登山者が増えて来ました。山だけでなく、車でも"そこで待っててくれたら、すれ違うのが楽なのに"と思うのに、突っ込んできてアタフタするドライバも多いのです。この傾向は強くなって、30代後半や10代の若者に顕著に見られます。そして、オジサン達。登山とは関係ありませんが、昼間の山道でライトを点けずにいるドライバも多いです。正直、運転が下手な人ほどライトを点けていない様です。
山では登り優先なのに平気で下りてくるのは、富士山では当たり前です。観光登山だから仕方がないと言えば、そうかもしれません。ですが、それ以外でも平気で下ってくるパーティが少なくありません。
また、ルート上で荷物の出し入れ、アイゼンの付け外しをする人も目立ちます。一億総カメラマンの時代で撮影をする人が増え、木道や雪渓等の幅の狭いルートで写真を撮る人がいます。気持ちは分かります。ですが、それでルートを塞いでいる事があります (撮影する時って、カメラを構えてお尻を突き出す格好になりやすいですから)。前後を確認し、登下降する人がいれば撮影を遠慮し道を譲りましょう。どうしても撮影したければルートを外すか撮影を止めましょう。同伴者は広い場所で待つ様にしましょう。
また、登ってくる人が一本道の木道に入っているのに、待っている我々の前に分け入って木道に入って降りようとするオジサンがいました (結局登ってきた若者が木道を途中で降りて譲りました)。何という事でしょうか。
5.場所を占拠する
登山道を占拠するのとは違い、山小屋を占拠する人がいます。どういうことでしょう。
時々遭遇するのですが、朝の出発等でごった返している時に、荷物を手元に置いて靴を履いて準備する人がいます。荷物は靴を履くのに必要ないですから、外に置くなり入口のじゃまにならない場所に (パーティなら) 固めておく等して邪魔にならない様にしてから靴を履いたりスパッツを付けたりすればよいのですが...
また、山頂での記念撮影の際に、大勢のパーティが個別に記念撮影して占拠していることがあります。これでは、他のパーティの人達は撮影ができません。特にガイド登山でのケースが多いのですが、ガイドの人はチャンと指導していただきたいものです。山頂で10分以上も待たされた事もありました。
6.ルート上で立ち止まる
4.と同じ事なのですが、少し視点を変えましょう。疲れてくると、歩みを止めて呼吸を整えたり、荷物の担ぎ直したりしたくなります。パーティであれば、大した問題にはなりませんが、他の人達が後ろに続いていた時はどうでしょうか。ペースが崩され、「何故止まる!」となります。後ろに別パーティがいた場合に立ち止まる際は、道を譲れるようルートを外したり、広い場所で立ち止まったりする様にした方が良いです。
また、1.と関連しますが、下ってくる人が登ってくるパーティを待ってルートを譲ろうとしているにも関わらず、登る途中で足を止め写真撮影をしたり、会話に夢中になって歩みを止める等、周囲に気を配らない人が多いなと思うようになりました。撮影をしたいなら、その旨を待っている人に伝えて先に通せばよいのです。写真は撮るのに、コミュニケーションが取れない人が多くなっている気がします。
7.道を譲れと怒鳴る
何度か経験があります。後ろから、急ぎたいので道を開けてくれと怒鳴るんです。もちろん、事故や急病人搬出の為に急ぐのであれば、話は別です。それならば、理由を言えば良いのです。広い場所ならともかく、岩場等の隘路で言われると、経験が浅い人は慌てるため事故につながります。そんなに急ぐのならば、人よりも早く出れば良いのです。遅く出発して、前にいるパーティをどかしてまで急ぐのは我儘です。こういう人達に限って、御礼も言わずに先を急ぎます。どんなに厳しいルートを歩いてきたとしても、技量の上下で、ルートを歩く優先度に上下がある訳ではありません。急ぎたければ声をかけ、適当な場所で抜かさせてもらえば良いのです。そういう余裕もない人達も多くなって気がしました。道を譲って欲しい時は、左右のどちらから抜かすとか、隘路であれば広い場所で抜かさせて欲しいと、声をかければ良いのです。
8.雪渓歩きが出来ない
最近の傾向がわからないのですが、キックステップが出来ない人が多い気がします。雪が出ると直ぐにアイゼンをつけ、フラットアイゼンで歩くので、ステップを崩していきます。これは、下りの場合が顕著で、折角のステップは無残な状況です。アイゼンをつけても、キックステップは必要なんですが...
このため、ちょっとした雪渓でもアイゼンをつけないといけなくなります。度胸試しは必要ありませんが、基本的なキックステップは身につけていただきたいし、そうでなければ練習して山に入っていただきたいものです。
9.ながら歩きをする
街中で、携帯電話やスマートフォンを見ながら歩くことの危険が問われています。駅のホームで、小学生がゲーム機だったかを操作しながら歩いていたらホームに落ちた事件がありました。それを山で見るとは...
もちろん、スマートフォンを見ながら歩いて崖下に滑落したわけではありませんが、スマートフォンを見ながら歩いている若者を見かけました。
スマートフォンは言うに及ばず、物を取り出したり仕舞ったりする場合には、立ち止まって行うことが大切です。ながら歩きは、気が散ってしまい、事故を誘発しかねません。ちょっと立ち止まれば済むことですから、事故が起きる前に立ち止まって事を済ませ、歩きに集中するようにしましょう。
10.パーティがバラバラ
友達同士で仲良く登山、というのも楽しいですが、時々見られるのが経験者(おそらく先輩)が,初心者(おそらく後輩)を連れたパーティで、初心者同士を置き去りにして、経験者が先に行ってしまうのを見かけます。必ず、初心者のグループに経験者の一人を置き、対処する必要があります。
また、夫婦でしょうか。奥さんを置き去りにして、山頂でタバコを吸っている旦那さんも見かけます。次回も奥さんと一緒に登りたければ置き去りにせず、奥さんの後ろをプレッシャーをかけないペースでゆっくり歩いてあげる事が大切です。でも、私もチョクチョクやってるなぁ(タバコは吸わないけど)...
同じ様な事を書き連ねてしまったかもしれません。
ですが、山では余裕を持って、お互いに安全に下りられるよう心がける事が大切です。自分だけが、という思いでは、事故は無くなりません。
私は、足に麻痺があるため、常に気をつけていないと足首を捻ってしまいます。このため、常に緊張感を持って歩いているのですが、やっぱり気を抜くと...グギッ!と何でもない場所でやってしまいます。こういう時に事故が起きるんだと、言い聞かせながら歩くようにしています。