なお、これまで論文調でまとめていましたが、よく考えたらHTMLを活かしてハイパーリンクで参考文献とリンクして、参考文献をリストとして明示していません。興味がある方は、リンクから参考文献を参照して下さい。
まだまだ調査の初期段階で,文献もあまり読み込めていません。
おいおい追記していきたいと思っています。
*1 第一種接近遭遇: 映画「未知との遭遇」で周知された。J. Allen Hynek博士が提唱した分類は以下のとおりで、熊とは全く関係がない。
第1種接近遭遇: UFOを至近距離から目撃
第二種接近遭遇: UFOが周囲に影響を与える
第三種接近遭遇: UFOの搭乗員と接触
1. はじめに
ここでは,本州以南に生息するツキノワグマ(月の輪熊)を対象とする.北海道に生息するヒグマ(羆)の生態については,おいおい追記していきたい.クマの生息域を,図1に示す.図が小さいため大きな図で確認したい場合は,環境省自然環境局 生物多様センターが2004年3月に発行した「第6回自然環境保全基礎調査 主の多様性調査 哺乳類分布調査報告書」の57ページを参照されたい.なお北海道は,ヒグマの分布を示している.図1から分かるとおり,九州ではクマは全滅したと見られている.
図1. クマの全国分布メッシュ比較図 |
2. ツキノワグマ
ツキノワグマは,「月の輪熊」と書き胸に三日月形 (V字型) の白い斑紋があることから呼ばれる.学術名はUrsus thibetanus (アジアクロクマ) であるが,旧属名はSelenarctosで「月の熊」を意味していることから,胸元の斑紋を月の形に見えたのは日本人だけではないようである (図1).図1. ツキノワグマ(https://tsukinowaguma.etc64.com/より引用) |
図2. 熊棚(http://kumamori.org/news/category/date/2012/11/より引用) |
現在,絶滅危惧種に指定されているが,クマ類の個体数推定法の開発関する研究チームによる2012年3月「クマ類の個体数を調べる ヘア・トラップ法とカメラトラップ法の手引(統合版)」によれば,ツキノワグマの推定個体数は1990~2000年代は13,000頭に対し2006年には16,000頭と増加傾向にあり,図2から生息分布も広がっていることがわかる.
生息分布は図1のとおりで,九州では絶滅したとされていて本州と四国のブナ林で生息しているが,四国も絶滅が危惧されている.なお,八ヶ岳は四方が道路で囲まれておりクマが生息していないと言われている.クマの目撃情報が時々聞かれるが,カモシカの見間違いではないかと言われている.
クマに共通することであるが,走ったり木に登ったりすることが得意で,時速35Km程度で走ると言われている.これは,100mを10秒で走ることになり,100Kg超のボルト選手が全速力で突進してくる,と考えるとわかりやすい.例えば50m先でロックオンされたら,わずか5秒しかない.
3. クマに出遭ったらどうするか
最近,人里でのクマの目撃談や山菜や筍採りでの被害が多発し,クマの対処法について様々なメディアやウェブログで紹介されている.出遭ったらどうするか,という前に出遭わない工夫が必要である.
出遭わない様にするために,経験を含めてまとめたい.
出遭わないための工夫
- 前述のとおり,臆病なため人の声がすると逃げていく.
このため,複数人で話しながら歩くのが良いとされている.
単独の場合は,熊除け鈴やラジオを鳴らしておく.
熊除け鈴よりもラジオの方が人が大勢いるように思わせられるため有効であるとの意見もある. - 食べ物などの匂いが漏れないよう,ビニールに入れておく.
- 山中でビバークする際は,大声を出してヒトがいることを知らせる.
- 山などでは登山道からそれない.
出遭ってしまった場合の対処
- 振り返って走って逃げる,は一番してはいけない対処と言われている.また,木に登ってもクマは木登りが得意なため逃げられない.
基本,ゆっくり後ずさりする. - 自分よりも大きな動物を襲うことは少ない習性を活かし,ストックなどがあれば頭上に掲げて大きく見せる.
- 音を鳴らす.騒ぐ.
私は,出遭った際に熊除け鈴を付け忘れ焦ったものの,金属同士で音を鳴らしたら逃げて行き事なきを得た.なお,声は出せなかったことを書き添えておく.
熊除けスブレーで撃退,という話を耳にするが,熊除けスプレーの有効範囲は5m先程度,5秒程度で噴射が終わってしまう製品が多い.前述のとおり,ボルト選手並みのスピードで100Kg超の動物が向かってこられても,冷静に熊よけスプレーを取り出して撃退できるのは,経験者でなければ難しいだろう.
首を手で覆い,腹部を守るように膝を折り地面に向かってまるまるのが良い,と言われている.
聞いた話であるが,クマに襲われた際に一撃をもらったものの,2度目に向かわれた際に蹴りあげた足がクマの鼻面に当たり逃げていったそうである.犬猫,ヒトなどの動物に共通すること (犬だったか鼻面を撫でるのは嫌がるそうだ) だが鼻面が弱点と言われており,狙うなら鼻面かもしれない.
なお,決してクマに闘いを挑むことを推奨しているわけではなく,クマに出遭わない対処をしておくことが一番であることを重ねて強調しておく.
以上
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