2009-06-23

代用電話番号サービス

2009年6月23日(火)
 最近、某企業で、「自分の電話番号の代わりに、その企業と契約した電話番号を使ってネットショップすれば、プライバシが守れますよ」というコマーシャルが流れています。
 見たときは、「なるほど!」と思ったのですが、直ぐに「???・・・」という疑問が沸いてきました。
 これでも一応、(プライバシの)研究者の端くれ・・・ですから...

 そもそも、この某企業の***ナンバーというサービスは何でしょう。

 このサービスは、例えばAliceさんが090-1234-5678という電話番号を持っていたとします。
 すると、この某企業のサービスで、0*0-8765-4321という電話番号を契約すると、
Aliceさんの090-1234-5678へ転送してくれる、というサービスです。
 時期的にはナンバーポータビリティが始まる後に出たサービスですから、プライバシ保護を主眼としたサービスかもしれません。

 ですが、よくよく考えてみれば、このサービスで使う電話番号の方が、よっぽどプライベートな情報と成り得る場合があります。

 何故なら、ナンバーポータビリティ制度が始まる以前ならば、Aliceさんの電話番号(090-1234-5678)は携帯電話会社を変えれば、強制的に変更され、例えば080-2345-6789に変わります。
 ですが、契約している番号(0*0-8765-4321)はそのままで、Aliceさんが新しい080-2345-6789に転送するように変更すれば、知人に電話番号を変わったことを教えなくてもいい、というのが、このサービスのメリットでもあるわけです。
 本来、自分が電話会社と契約している電話番号を教えなくても、この会社が提供しているサービスの電話番号(0*0-8765-4321)を教えれば、個人契約の電話番号は広まりません、と言っているわけです。

 ところが、個人の電話番号は変わっても、契約している(0*0-8765-4321)は変わりません。
 これって、プライバシーを守るサービスと言えるのでしょうか。

 もちろん、使い方次第です。
 ですが、携帯電話番号や固定電話番号を引き継げるようになったため、プロキシ的な電話番号サービスが個人のプライバシーを守れるかは疑問な気がします。
 もちろん、テンポラリな電話番号を登録できれば別ですが...

 例えば、このショッピングサイトへは0*0-8765-4320を登録し、商品購入が済んで問題が無いことが確認できたら転送できなくする、ということです。
 ですが、数ヶ月して商品が故障してアフターサービスを受けたくなったら、結局個人の電話番号(090-1234-5678)を教えることになります。
 おそらく、ナンバーポータビリティ制度が始まる前にサービスを検討し展開したかったのでしょうが、制度が始まってしまい、利用価値が無くなってしまったため、プライバシ保護という名目で2年ほど前にサービスをはじめたとも考えられます。

 プライバシ保護は難しいテーマです。セクハラと同じで、個人によってプライバシは異なります。
 私も提案し、いろいろな所で発表させていただきましたが、情報を隠すことよりも、情報をしっかり管理することの方が大事だと思います。
 このサービスは匿名にしています、と言われても実感わきませんし。
 ですが、プライバシ情報を長年預けても、トラブルが無ければユーザは利用するわけです。
 例えば、*-Pointやチケット○あ、なんかはプライバシ情報を活用して、ターゲットマーケティングに活用しユーザ数を増やしていますよね。

 そもそも、525円/月はチョット高いかな、という気がします。
 というのも、ネットオークションで、相手の住所をブラインドしたまま配達するサービスがありますが、500円でも利用されていないようですから。
 せめて、210円か105円に設定したなら、利用する人は多いと思います。
 どうでしょうか。

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